kitakikakuデザイナーの喜多理恵です。
今回はkitakikakuと西陣織の出会いのおはなし。
西陣織というと、着物用の高級な織物、日常では手の届かない、私たちのいる世界とは遠く離れた夢物語のような素材、というイメージが漠然とありました。
美術館に展示されている絵画や彫刻のような、憧れはあるけれど、自分のものには絶対にならない芸術品のように。
ですが、とある展示会での出会いが、高い高いハードルを越えて一つの作品を作るきっかけとなりました。
2017年の冬のジャパンクリエーションの会場を急ぎ足でまわっている時、目に飛び込んできたのが「西陣岡本」さんの西陣織。
それまで目にしたことがないほど鮮やかな色合い、美しい輝き。「西陣織」というワードに躊躇しつつ、西陣岡本さんのブース前を3,4回行き来して思い切って生地を見せていただくことに。
展示されていたのは女性作家さんによる、まさに「現代に生きる西陣織」。
なぜこんなに美しい色と輝きなのか、本当に不思議でいろいろ質問させていただきました。
写真では伝わりにくいのがもどかしいのですが、輝くような「赤」「青」。絹糸がこんなに美しいとは!!
西陣織といえば「金らん」!
眩しいほどの輝きなのに厳かなのです。
一言「伝統」と言うのは簡単ですが、実際に作品を目の前にすると、その重厚な歴史に畏敬の念を抱かざるを得ません。。。
柄のモチーフは南国風の鳥や植物、甲虫など、とても自由。かつ、伝統的なモチーフとも合わせられていて「和」なのに無国籍感もあり、時代を超えて私たちの感覚に訴えかけてくるものがあります。
お話を聞いていくと、西陣岡本さんは神社や仏閣など、特別な場所に納められる西陣織を、代々織られてきたとのこと。
現世において「極楽」を表現するための織物。。。。。(ため息)。。。納得です。
もっと知りたくなり京都までお邪魔して作品用の生地をおねがいしに行ってまいりました。
全ては衝動に突き動かされた故の行動。。。。どうしてもこの美しい織物で作品を作ってみたかったのです。
美しいものは人の心も体も動かしますね。。。。
次回はクラッチバッグのデザインについてお話できればと思います。