キタキカクの喜多理恵です。
さて、前回の続きです。
日本橋の三井記念美術館に「フィラデルフィア美術館 浮世絵名品展 春信一番!写楽二番!」展を見にやって来ました!
フィラデルフィア美術館には日本の版画が4000点ほど収められているということで、今回はそのコレクションの中から選りすぐりの作品を三井記念美術館で公開しています。
今回、三井記念美術館で展示されている浮世絵は、「木版画錦絵」という、版画の手法を使って何色も色を重ねた浮世絵になります。
つまり、一部の富裕層が楽しんでいた肉筆画と違って、版画はある程度の量産ができるので、一般大衆も楽しめたものが「木版画錦絵」とも言えます。
そもそも、この木版画錦絵が広まったきっかけは??というと……
「絵暦」。
そう、カレンダーです!
ちなみに、現代ほど識字率が高くなかった江戸時代では、数字や暦の名前を分かりやすく絵で表していたそうなので「絵暦」と言われるものが一般的だったそうです。
今回、この展示会の名前にもある「春信」というのは「鈴木春信」のことで、彼は当時(1765年くらい)に刷られた絵暦のほとんどに関わっていたと言われているそうです。
売れっ子だったのですね^^
そんな春信さんの作品を中心に並べられた展示物の中で、私が気になったものをいくつかご紹介しますね^^
今回も図録からのピックアップです!
まずこちら!
白黒の線画だけの版画です。
これは何重にも色を刷った錦絵が開発される前の一色刷りだった頃のもの。
作者は不明だそうですが、このタッチにやられました!
なんてコミカル!
1683年の作品だそうですよ!!
日本人のDNAに刻まれた漫画センスはこの頃から受け継がれているのだなーとこの絵を見て確信しました^^
続いて春信さんの作品。
繊細ですね~。
特に着物のやわらかな表現がすばらしいです。
ディフォルメされて非常に洗練されたデザインになってますよね。
続いては、泣く子も黙る「歌麿」(上)と「写楽」(下)
私の印象としては、歌麿は非常に色っぽい!なまめかしい!
繊細さと大胆さが共存していて、そこが妙に生々しいのです。
そして写楽は「記号」。もう私たち日本人にとって、彼の絵は記号として脳みそに刻まれてしまっています。
写楽の絵がある限り、私たちにとって「写楽=浮世絵」なのだな、と。
肌の質感をも一本の線で表してしまう画力と、空間使いのセンスの良さ!
写楽の絵は数枚あったのですが、どれも脱帽ものでした。
語ることは・・・ないな・・・・(すみません)
このセンス、1964年の東京オリンピックのデザインプロジェクトとも通じる気がしてならなりません。
写楽の絵は日本人のセンスの結晶みたいなものなのかなぁ・・・・
あとは北斎もありましたよー^^
これこれ!ってかんじの富士山。
ブルーのグラデーションが非常にきれいでした。
これ、当時のものなんですよね!?
本当にきれいなブルーだったんです。ぜひ実物を見ていただきたいです!!
この色とグラデーション具合を出すの、かなりの腕が必要なんでしょうね。
そう考えると、木版画錦絵って、絵師がいて、木を彫る彫り師がいて、色を重ねていく摺師がいて、誰が欠けても成り立たない共同芸術作品なんですよね。
あの絵たちを、木を彫って版画にしてたんですよね・・・
おそろし・・・
そしてみんな大好きな国芳!
めずらしく猫ではなくて雀ですが、これまたかわいい!
国芳もっと見たい!
はい、展示あります!
横浜のそごう美術館で8月から!
これも絶対に行きます!
あと、個人的に気になったこの絵!
ねずみの大名行列の夢見てるんですって!!!
なんでしょうね、この漫画的表現!DNAですね^^
そんなわけで、
大満足な展示でした。
会期中に大幅な展示替えがあるみたいなので、もう一回行くかもです^^
これらの浮世絵が、量産されて一般大衆に出回っていたとは、なんて豊かな時代なんでしょうか。
いずれ、今、私たちが生きているこの時代の漫画やイラストが、未来の美術館で展示されることもあるのかな。
そんなことを考えてしまう、DNAを感じる素晴らしい展示でした!
アート好きにもデザイン好きにもオススメです!