2015年9月26日土曜日

埼玉県立近代美術館【すごいぞ、これは!】

こんにちは^^
キタキカクの喜多理恵です。

最近、県外の美術館にもちょくちょく足を伸ばしております^^

その中でも行ってみたいと思っていたのが埼玉県立近代美術館です。

ところで、「近代美術館」の「近代」ってどの時代??「現代」とは違うの??と、時々思いますが、実際に美術館に行って肌で感じるのは、ほとんどの「近代美術館」は「近代&現代」なのかな、と。
古くても明治。大体が戦後のものから、現在活躍中&存命中の作家さんまで展示しているところが多いのかなーという印象です。

ただ、「現代美術館」というと、より難解で概念的な作品を扱うイメージかな。。。。


そんなわけで埼玉県立近代美術館ですが、現在開催されている企画展は「すごいぞ、これは!」という題のついた、誤解を恐れずに平たく言わせていただきますが、何らかのハンディキャップを持った方の作品を全国から集めた展示です。

こういった作品は、一般的にアウトサイダーアートと呼ばれることが多いのですが、またそれとはちょっと意味が異なるようです。(→ウィキペディア「アウトサイダーアート」

アウトサイダーアートと言えば、数年前に話題になったヘンリー・ダーガーを思い浮かべる人が多いかもしれません。(実際に埼玉県立近代美術館のミュージアムショップにも今回の企画展の関連書籍として並べられていました)

特に美術や芸術に関しての教育を受けておらず、誰に見せるわけでもなくただひたすら自分の世界の中で作品作りを重ね、その数が膨大なものになっていたという彼のアート。
彼の死後20年以上経ってから彼の住んでいたアパートのオーナーによって作品は世の中に発表されることになるのですが、その世界観と、強迫観念すら感じる作品量に、私たちは圧倒されました。
このヘンリー・ダーガーによって「アウトサイダーアート」という概念が一般にも広がったと思います。


なんだか長くなりましたが、そんなアウトサイダーアーティストを含む作家の作品が全国から集められた「すごいぞ、これは!」展。
なかなか!!なかなか見ごたえあって、すごく楽しく、また、感動しました!!

とても良かったのです!!

アート関連の研究員や学芸員が「自分はこの作家を推す!」と、選んだアーティスト総勢12人が揃っているのですが、バラエティに富んでいるし、解説も丁寧だし、アーティストに対するホスピタリティみたいなものも感じるし、アートに対する姿勢が尊い!

よくある慈善事業的な発表会ではなく、とても見ごたえのある展示会になっていたのが素晴らしい。
何らかの障害がある人が作ったにしては素晴らしいのじゃなくて、本当に素晴らしい、まさに「すごいぞ、これは!」な作品を集めていました。

なんでこんなに心に刺さるのか、不思議な気持ちで見ていたのですが、ある作家の解説にあった「幼少期から誰に見せるわけでもなく約30年間で800台ほど作り続けている」という文章を読んで、ヘンリー・ダーガーを思い出すと同時に、納得できたところがありました。


「アート」、特に「現代アート」というのは、本当に意味が広いと思うので、現代アートと呼ばれる作品を見たときに、戸惑ったり、考えたり、疑ったり、そんなことが多々あります。

「テーマは●●です」「○○について感じたことを作品にしました」「××のことを△△に置き換えて……」「今あなたが過ごしているこの時間は一方でうんぬんかんぬん…」「本来あるべき役割を、作品を設置する場所を変えることでうんたら……」

それもアート!
分かる!それも好き!

でも、そういういろいろのテーマが出てくる前に行動になってしまっているアートって、なんだかすごいな、と純粋に思ったのです。
SNSが氾濫する昨今、もちろん私も含めてですが、誰かに見せる前提のモノを私たちはせっせと作っているわけで。。。もちろんそれが悪いことではないです。でもそんな一方で今回のような作品を見るとショックが大きいのも事実ですね。。。


特に気になった作家さん!(展示会図録より)
西脇直毅さん
たたみ一畳弱の画面にうっすら渦のような模様

アップにすると全部猫!!
その細かさはシャーペンと比べてみてください。それがたたみ一畳弱びっしりです。


あと喜舎場盛也さん
漢字をびっしり並べて描くことにこだわりのある、けっこう有名な方。

最近はドットにはまっているそうで、これがすごくきれいで良かったです。
一つ一つのドットが本当にきれい。


そして
藤岡祐機さん
 これはぜひとも実物を見てほしいですが、ものすごい緻密な、はさみを使った作品です。
作品自体がびっくりするほどきれい。
実際の制作風景のビデオも良かったです。



………埼玉県立近代美術館、楽しかったです。
あと、この美術館のすごいのは、イスのコレクション!!
アートなイスがたくさんあって、しかも実際に座れます。
どのイスがどこにあるかもちゃんとサイトに載っているのでチェックしてみてください!


で、アトリエに戻ったら、図録に触発された敵さんが絵を描いてくれました。
コアラ増殖……

楽しい一日でした。